期 間:平成27年9月19日(土)~23日(水・祝)
参加者:KSN(単独)
形 態:小屋泊(自炊)
(初日)
明日から黒部五郎を周回するNGCさんの車に同乗し、早朝金沢を発つ。道中は、ずっと雨。時折、雨脚が激しくなり、気が滅入る。6時過ぎ、有峰林道入口着。ゲート手前からすでに渋滞中。ようやく、料金所を抜けても、工事箇所の交互通行でさらに大渋滞。予定より大幅に遅れ、8時前に折立口着。何とか第2駐車場に車をとめ、身支度。雨脚は、かなり弱まり、出遅れも怪我の功名と前向きに捉える。
雨にもかかわらず、登山口には多数のパーティ。今日の行程は長い。トイレ渋滞の列をかわし、そそくさと登り始める。急登を登り切った頃には、雨もほぼ上がり、雨具をしまう。12時15分、太郎平着。少々肌寒く、温かい飲物をつくり、身体を暖める。
12時45分、太郎小屋発。以降は、ひたすら下降。少々もったいない気も湧き起こるが、雲は晴れ、青空がのぞき、気分は悪くない。すでに紅葉が始まっており、美しさに何度も立ちどまる。14時45分、薬師沢小屋着。かなりの登山者で混雑しているが、雲の平まで向かう登山者は、我々のみ。ここからが、今日の正念場。橋を渡り、梯子を下り、雨で濡れ、滑りやすくなった涸れ沢の急登を息を切らしつつ、2時間登りつめる。ようやく、斜度がなくなり、木道に出る頃には、日の入り間近。ヘッデンを覚悟する。
薄闇の中、周囲を見渡せば、黒部五郎、笠ヶ岳、三俣蓮華、水晶、薬師。雄大な峰々の連なり。薄暮の中に浮かび上がるシルエット。息を飲むほど美しい。ふと、気がつけば、槍の穂先が雲海の中に突き出ている。NGCさんには申し訳ないが、この時間、この道を歩けて本当に幸せだと感じる。太郎平方面の夕焼けも美しい。明日はよい天気だろう。
完全に日没を迎え、冷え込みが厳しくなる中、グローブを取り出し、防寒着を着込み、ヘッデンの明かりで慎重に木道を進む。遠くに小屋の灯りが見える。19時、雲の平小屋着。見上げれば満点の星空。テントは冷え込むだろうが、我々は、気持ちのよい小屋でゆっくりと休もう。
行動時間:11時間
歩行距離:約15キロメートル
(2日目)
6時30分、快晴の中、小屋を発ち、まずは、祖父岳へ向かう。長めの休憩後、8時20分、三俣方面へ向かうNGCさんと頂上で別れ、ひとり鷲羽岳を目指す。岩苔乗越上部でザックをデポし、ワリモ岳を経由し、鷲羽岳頂上まで駆け上がる。9時20分、頂上着。裏銀座コースを見渡す。今日は、どこまで行けるだろうか。来た道をとって返し、水晶小屋へ。小屋前にザックをデポし、水晶岳へ向かう。11時、山頂着。長大な読売新道をじっくりと眺め、小屋へ戻る。
12時、水晶小屋発。真砂岳山腹を巻き、14時、野口五郎岳着。休憩後、烏帽子小屋を目指す。途中の三ツ岩は、山腹を巻く。16時30分、小屋着。かなり混んでいるが、何とか、布団一枚を確保。夕刻からは、ガスで展望なし。
行動時間:10時間
歩行距離:約18キロメートル
(3日目)
5時50分、小屋発。6時30分、若干のクライミング気分を味わいつつ、烏帽子岳山頂。7時50分、南沢岳、9時10分、不動岳通過。ここから船窪岳までは、アップダウンがきつく、ロープや梯子が連続する。小屋で耳にした話では、昨日、1名が滑落し、ヘリが出動した模様。ザレている箇所も多く、体力に加え、神経も消耗する。12時ちょうど、船窪岳通過。すでにかなりの疲労感。今日は、山頂からしばらく下った船窪乗越から、針ノ木沢に降り、針の木小屋まで登り返す。
12時40分、針ノ木沢出合。ここからしばらく、徒渉を繰り返しつつ、沢を遡行。できるだけ靴を濡らさないよう、神経を使う。踏み跡とケルンを目印に何とか登り返し地点を探しだす。行き交う登山者は、皆無。上空のガスも濃くなっており、一刻も早く小屋に着きたい気持ちが膨らむが、まずは、久しぶりの使い放題の真水で顔を洗い、気持ちを落ち着かせる。
ここからが今日の正念場。体力的なキツさもあるが、ルーファイを誤らないよう、何より、足を滑らせて沢に滑落しないよう、最新の注意を払いつつ進む。ポイントごとにしっかりとした目印が岩にスプレーしてあるが、慎重に歩を進めなければ、見落としてしまいそう。道中、ロープが張ってある箇所も複数。ようやく水が枯れ始める辺りまで登り返し、一息つく。
この後は、尾根歩きになるため、しっかりとボトルに給水。沢から外れ、気持ちは、随分と楽になるが、岩場歩きでかなり脚力を消耗しており、ここからの登り返しは、相当キツく、歩いては立ち止まりを繰り返し、15時15分、ようやく、針の木小屋着。道中行き交う登山者の数からは、混雑はないと確信していたとおり、2段ベッド上段の片隅に布団一枚を確保。
行動時間:9時間30分
歩行距離:約13キロメートル
(4日目)
6時30分、小屋を発ち、縦走路をとって返し、まずは、蓮華岳往復。快晴。大町市内一望。雲海の上、富士の頂もはっきりと見える。9時、再び小屋を発ち、針ノ木岳へ向かう。斜度がないところはさほどでもないが、急登は足に堪える。針ノ木山頂でゆっくりと休憩し、スバリ岳へ。最後の急登は、足がふらつく。10時30分、スバリ岳着。12時、赤沢岳通過。鳴沢岳を経由し、13時10分、新越山荘着。給水。岩小屋岳を経由し、14時45分、種池小屋着。このまま冷池山荘まで歩を進めてもいいが、その場合、明日の下山路は、長い赤沢尾根か遠見尾根。下山後の交通機関の便も考慮すると、扇沢に下りるのが最適と判断。明日、爺ヶ岳を往復することとし、行動を終える。
行動時間:8時間15分
歩行距離:約13キロメートル
(最終日)
5時10分、荷物をデポし、爺ケ岳を目指す。思ったより、身体は軽い。天気は快晴。爺ヶ岳の向こう、手の届くような距離に鹿島槍。5月上旬に鎌尾根を登った際には、南峰止まり。コースタイム上は、やや厳しいが、思い切って鹿島槍を目指す。爺ヶ岳の山腹をトラバースし、6時10分、冷池山荘通過。7時10分、南峰着。登り返して、7時30分、北峰。
この先は、さすがに時間切れ。五竜、唐松、白馬、どこまでも歩けそうだが、昼過ぎには、扇沢に下っておきたい。この5日間、ほぼ天候に恵まれ、展望には全く心残りはない。あとは一路、小屋まで戻るのみ。9時、冷池山荘で給水。登り返して、爺ヶ岳中峰、9時30分。冬に敗退した東尾根がよく見える。届きそうだったような、やはり無理だったような。9時45分、南峰通過。10時05分、小屋着。
残った食料を胃袋に詰め込み、10時40分、小屋発。柏原新道を一気に下る。途中、一度前のめりに転倒。扇沢の駐車場が目前に迫り、気が抜けたか。再び、集中し、12時5分、下山完了。同15分、扇沢バスターミナル着。12時30分発のバスで大町温泉郷下車。久しぶりの入浴。帰沢。
行動時間:7時間
歩行距離:約18キロメートル